男が自意識に苛まれた挙句、何も言えなくなってしまった時代に、
女たちは何も気にすることなくストレートに言葉を生み出していく。
言いたいことを言っている。
薄っぺらい歌詞ばかり書くと、「会いたくて震える」西野カナがバカにされているけれど
薄っぺらい言葉しか届かない人たちもいる。
文学的な重みのある言葉や、内面の危機から絞り出されたような言葉もよい。
重さのある言葉を受け止めることができる人たちにとっては、刺激的に感じられるだろう。
しかし、そんなに強い人間ばかりではない。言葉を咀嚼するのにもパワーがいる。
理解力がなかったり、心が弱っていたり、言葉を咀嚼する楽しみを持てない人もいる。
文学的重厚さがなくても、解釈する楽しみがなくても、言葉は優劣なく、言葉である。
薄っぺらい言葉もよい。ストレートで力強い。
何より、弱者に届けることができる。
言葉にたいして、もっと素直になっていいんじゃないか。西野カナみたいに。
含蓄があり比喩的な言葉は詩的であると言われる。
一方で、誰にでも理解できる語彙で、素直に心情や考えを表した言葉も、詩としての価値がある。
詞だからって身構える必要はない。
女性のほうが、そのことをよく理解しているんじゃないかと、最近の音楽を聴いて思う。
自分の気持ち、そんなに武装した言葉で表現しなくても、いいんじゃないか。